痛み、こりのお悩み
「ストレスがたまると脇が痛む…」
「脇や胸にズキッと痛みが走り、息をするのもつらい…」
もし、あなたがこのような症状でお悩みなら、それは「肋間神経痛」かもしれません。
肋間神経痛とは、肋骨(あばら骨)に沿って走る神経が、何らかの原因で刺激されることで起こる痛みです。脇腹から胸、時には背中にかけて、鋭い痛みを感じることがあります。
痛み止めや湿布、場合によっては、神経ブロック注射といった治療が一般的ですが、「なかなか改善しない」「薬が切れるとまた痛む」といったお声も少なくありません。
中医学ではこのような痛みを「気」の流れの滞り、いわゆる「気滞(きたい)」が原因の一つと考えます。ストレスなどで気の巡りが悪くなると、痛みとして体に現れることがあるのです。
そのため、中医学では「気」の流れを整える「理気(りき)」や「疏肝(そかん)」というアプローチで、痛みの根本的な改善を目指していきます。
肋間神経痛を中医学的に考えると、痛みが起こる脇の下から胸は、“肝”の経絡が通る場所にあたります。
そのため、そこの経絡上に現れる痛みは、“肝”との関係が深いととらえることが多いです。
“肝”は、エネルギーである“気”を全身にめぐらせて、イライラ・緊張・落ち込みなどの感情の浮き沈みや、日頃受けているストレスを緩和する働きをしています。(=疏泄(そせつ)機能と言います。)
しかし、ストレスを受けたり、緊張が続くと、“気”のめぐりが悪くなり、“気滞(きたい)”という状態になります。そうすると
の3つの症状が起こりやすくなります。これが脇の肝の経絡上に生じると、肋間神経痛の”痛み”として現れてくるのです。
その他にも、頭部ではこめかみの痛み、耳鳴り、胃腸症状ではお腹の張りやガス・ゲップの増加、精神面ではイライラ・落ち込みなども気滞の代表的な症状です。
心当たりはないでしょうか??
漢方薬では、“気”のめぐりを良くする理気薬を中心に用いて、体をリラックス状態にし、筋肉の緊張をほぐすことで徐々に痛みを和らげていくことが重要です。
代表的な漢方薬として、四逆散、逍遥散、加味逍遙散、柴胡疎肝湯、開気丸などを症状や体質によって使い分けます。
逍遙散の「逍遙」という言葉は、中国では「気ままにブラブラ散歩する」という意味です。ストレスでギュッと緊張している状態から、心と体をゆるませてホッとさせてあげるような現代社会にはかかせない漢方薬です。
“血”のめぐりが滞った“瘀血(おけつ)”の症状が見られる場合、冠元顆粒や血府逐瘀丸、田七人参などの“血”のめぐりを良くする活血薬を併用することもあります。
日常生活で意識していただきたいのは、まずは心身のリラックスです。
忙しい毎日の中でも、ゆっくりとお風呂に浸かる時間を作ったり、深呼吸を意識的に行ったり、ヨガなどの穏やかな運動を取り入れたりすることで、体の緊張がほぐれることがあります。
薬膳では、みかんやグレープフルーツといった柑橘類、また紫蘇やセロリ、パクチーなどの香りの高い野菜は、『気』の巡りを整えると言われています。こうした食材を日々の食事に少しずつ取り入れてみるのも良いでしょう。
特に現代社会ではストレスが多く、それが体の不調に影響することもあります。週末には趣味や自然とのふれあいなど、ご自身がリラックスできる時間を意識的に作ることも大切です。
小さな習慣の積み重ねが、体調の改善につながることがあります。
つらい肋間神経痛の痛みに対し、漢方薬が役立つことがあります。
中医学では、痛みの原因の一つを「気(エネルギー)」の滞りと考えます。漢方薬でこの「気」のめぐりをスムーズにすることで、ストレスや緊張による筋肉のこわばりが和らぎ、痛みが楽になるケースは少なくありません。
痛みだけを抑えるのではなく、心と体のバランス全体を整えることを大切にしています。これにより、痛みが起こりにくい状態へと導き、徐々に快適な日を増やしていくことを目指します。
現在の治療でもなかなか改善が見られない、長引く肋間神経痛でお困りでしたら、ぜひ一度、漢方の専門家にご相談ください。
あなたの体質に合った漢方薬で、解決の糸口が見つかるかもしれません。