皮膚病のお悩み
蕁麻疹でお悩みの方は、とりあえず抗アレルギー剤を飲まれている人が多く、 これからもずっと飲み続けなければならないのかというご不安を持っている方が多いと感じています。
アレルギー剤を服用していて、蕁麻疹の症状が治まっていても、休薬するとまた出てきてしまうという症状が一番多いようです。また、アレルギー剤が効かなくなってしまっている方も多く見受けられます。
慢性蕁麻疹は色々な検査をしても6~7割が原因不明のことが多く、これからどうしたらよいかわからないという相談をいただきます。
漢方ではステロイドを長年常用しているなどがなければ、割と良い反応がしやすい疾患だと考えています。
日本皮膚科学会によると、蕁麻疹とは、
皮膚の一部が突然に赤くくっきりと盛り上がり(膨疹)、しばらくすると跡かたなく消えてしまう病気です。人がイラクサ(蕁麻(じんま))の葉に触れると同様の皮膚症状が起こることからこの名前がつきました。大抵は痒みを伴いますが、チクチクとした痒みに似た感じや焼けるような感じを伴うこともあります。
基本的に蕁麻疹は数十分から数時間で消失するのが特徴です。ヒスタミンが遊離しやすい夜間に発生することが多く、病院や薬局にいるときには症状がないため、つらさが伝えづらい疾患でもあります。
アレルギー剤を飲んでいても出てしまう、飲まなくなると出てしまうなど、慢性化している方も非常に多くなっています。
蕁麻疹(じんましん)はアレルギー疾患です。様々な原因によって、「ヒスタミン」という物質が増え、赤みや痒み、膨らみなどがでてきます。ヒスタミンは掻くことによっても急増するので刺激には注意が必要です。
ヒスタミンが大量に放出されると、血管を拡張、血管透過性が亢進(→紅くなる)され、浮腫(→ぷっくりと膨らむ) が生じます。つまり、膨疹は蚊に刺されたのと同じ様な状態です。
基本的には抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬で治療をします。
発症して、1ヶ月以内のものを急性蕁麻疹、1ヶ月以上のものを慢性蕁麻疹と呼びますが、身体が「蕁麻疹がでる癖にしない」のがとても大事です。
蕁麻疹(じんましん)は症状が出たり引いたりと、変化が激しい皮膚疾患です。
中医学では風のように“よく動き、変化が大きい”という特徴で「風邪 (ふうじゃ)」が原因と捉えて考えることが多いです。
蕁麻疹は様々なタイプがあり、症状などにより、いくつかのタイプに分けることができます。
じんましん赤みやかゆみが強く、写真のように蚊が刺したようなプクッと膨らむ膨疹(ぼうしん)が広がったタイプで、漢方相談では一番多いな蕁麻疹です。
「温熱蕁麻疹(おんねつせいじんましん)」とも呼ばれ、基本的に体が温まると悪化します。
お風呂後や運動後など、体を温めた時などに悪化する場合が多いです。季節だと、温度が上がり始める梅雨から夏にかけて増えてきます。
漢方薬では「風熱型」には風熱邪(ふうねつじゃ)を消し飛ばすという意の「消風散」や「銀翹散」など をよく使用します。
風寒邪が原因でおきる蕁麻疹で、赤みや膨らみは比較的少なく、鳥肌に似たような方が多いようです。
一般的には「寒冷蕁麻疹(かんれいじんましん)」と言われ、冷たいものを食べたり飲んだり、冷風にあたったりと、寒さに当たることが原因で起こります。
スキー場にいったら寒冷蕁麻疹が出たという事例も聞きます。
季節も気温が下がり始める秋から冬に増え始めます。
「風寒型」の蕁麻疹は風寒邪が原因で起きているので、体を温めてあげるような処方を用います。「桂枝湯」や、桂枝湯と麻黄湯を半々にした「桂麻各半湯(けいまかくはんとう)」などを用います。
蕁麻疹はストレスも密接に関わっています。ストレスがかかることによって、ヒスタミンが遊離しやすくなるからです。
ストレスを受けたときにアセチルコリンが分泌され、蕁麻疹が出ている状態で、西洋医学的にはには「コリン性蕁麻疹(こりんせいじんましん)」と呼ばれます。
毎年決算の時期になると蕁麻疹が発生する方や、周りとの人間関係で蕁麻疹を引き起こす人もいらっしゃいます。
そのような時はストレスを緩和してくれるような疏肝薬の分類の「四逆散」、「加味逍遥散」などを併用する場合があります。
時計やベルトを付けている部位、バッグを下げていた部位、爪でひっかくとその部分がミミズ腫れのように蕁麻疹になります。
人工蕁麻疹(機械的蕁麻疹、物理性蕁麻疹)と呼ばれ、中医学的には体表を守るバリア機能の不足と捉えることが多いです。
他にも、日光を浴びたときに生じる「日光蕁麻疹」、サバ・エビなどの魚介類、小麦、卵など食べ物が原因による蕁麻疹など様々な種類があります。
慢性蕁麻疹の状態になってしまっている方は、体表の皮膚のバリア機能が弱っている方が多いと考えます。
中医学では体表の防衛の気が不足してしまっている状態で、 「衛気虚(えききょ)」と呼ばれます。衛気虚の状態が続くと、攻撃を受けやすくなってしまいます。
原因は元々持っている体質によるものも大きいですが、ストレスや過労、更年期などのホルモンの乱れなどによっても引き起こされます。
衛気虚では、
などの症状が出やすくなります 。
そのような時には、蕁麻疹を抑えてあげる漢方に加え、体表の気を補ってくれる「黄耆(おうぎ)」という生薬をメインに使った「衛益顆粒」 などと一緒に組み合わせるとおすすめです。
また、食事では「辛いもの・刺激物」は摂らないに注意しましょう。体に熱を持ち、悪化しやすくなります。
ただし、 蕁麻疹は自分で判断してお薬を服用されるよりも、一度皮膚病に詳しい漢方薬局などにご相談ください。