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皮膚病のお悩み

乾癬と漢方について

乾癬と漢方について

乾癬2

乾癬は表皮の細胞増殖と角化異常を特徴とする慢性の皮膚病です。日本には10~20万人の患者がいると言われています。

特徴として、皮膚から少し盛り上がった赤い発疹(紅斑)の上に、銀白色のフケのようなもの (鱗屑) が付着し、ポロポロとはがれ落ちる皮膚の病気です。

乾癬の皮膚では、炎症を起こす細胞が集まって活性化しているため、毛細血管が拡張し、皮膚が赤みを帯びた状態になります。表皮細胞が、健康な皮膚と比べて何倍もの速さで過剰生産されるため、表皮の細胞は厚く積み上がり、鱗屑(りんせつ)となってはがれ落ちていきます。

乾癬3好発部位は被髪頭部と四肢伸側ですが、色々な部位にも症状は現れます。爪の変形や関節炎を伴うこともあります。

西洋医学でも、様々な治療法が出ていますが、難治性の皮膚病の一つです。完治が難しいため、強めのステロイドを使用しても、良くなったり、悪化したりということを繰り返すことが多いのが実状のようです。

最近では、食事の欧米化、特に高タンパク、高カロリーの食事を多く摂ることによって、乾癬患者が急増していると言われています。

乾癬を漢方で考えると?

乾癬12乾癬は中国では「銀屑病」と称され、その皮膚症状から、主として「血熱(=血に熱を持っている状態)」であると考えられています。中国の皮膚科ではこの血熱に対し、「清熱涼血薬(せいねつりょうけつやく)」という分類の漢方薬が多く処方されます。

乾癬の中医学的な原因は「風・寒・湿・熱・毒」などの外因(環境等の要因)と素体不足(体質)・七情内傷(ストレス等)・飲食不節(食事の不摂生)と言う要因が絡んでいると考えます。

漢方薬は、病名だけでなく、乾癬の症状や状態(紅み、鱗屑、かゆみなど)、その人が持っている体質=「証」をみながら漢方を決めていきます。乾癬の状態により、処方は様々ですが、漢方薬服用により、非常に良い結果をもたらすことがあります。難しい疾患ですが、完治される方もいらっしゃいます。

また、漢方薬だけでなく、非常に重要だと考えるのがのが食事習慣です。辛いもの、甘いもの、刺激物は体に熱を持ってしまうため、避けた方が好ましいです。

高タンパク、高カロリーの食事も良くありません。中医学では、体内で消化吸収されされなかった悪いもの=”邪”が、出口がないために皮膚から出てきてしまうと考えます。日本人のDNAに合った和食中心の食生活をおすすめします。

アトピー性皮膚炎などは食事の不摂生によりすぐに悪化してしまうことが多いですが、乾癬は2~4週間後に現れることが多い気がします。中国の皮膚科では「肉と魚などのタンパク質はダメ、食べて良いのは白米と温野菜だけ」非常に厳しい管理をしています。

また、「かゆみ」に対しても注意が必要です。最近では約半数の方にかゆみが見られるというでデータがあります。

乾癬患者は「ケブネル現象」といい、正常な部分の皮膚を刺激すると、その部位も乾癬化してしまうという現象です。皮膚にかゆみがあったり、ポロポロと落ちてしまうため、思わずこすってしまう方も多いですが、逆に悪化を招いてしまうケースがあります。

中医学で用いられる主な漢方薬

  • ・清営顆粒(せいえいかりゅう): 血熱をとる
  • ・黄連解毒湯(おうれんげどくとう): 血熱をとる
  • ・冠元顆粒(かんげんかりゅう): 血の巡りをよくする
  • ・温清飲(うんせいいん): 血熱をとり、潤いを補う
  • ・当帰飲子(とうきいんし): 皮膚の乾燥に対し、潤いを補う
  • ・瀉火利湿(しゃかりしつ): 皮膚の湿熱をとる
  • ・銀翹散(ぎんぎょうさん): 体表の邪を冷やしながら飛ばす

などを状態により服用します。また、サプリメントで五涼華や五行草、白花蛇舌草、水快宝などを用いることもあります。

一般的な漢方薬を列挙していますが、実際には漢方の専門家に相談されることをお勧めいたします。

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2010年6月          2010年10月        2010年7月         2010年8月

 

乾癬とはどんな病気??

乾癬は日本で1~2%が罹患し、男女比は2:1と男性患者が多いです。欧米では2~3%が乾癬患者と言われ、そんなに珍しい皮膚病ではありません。

乾癬は年齢とともに増加傾向にあります。昔は珍しい病気といわれていましたが、最近では、食生活の変化、特に動物性脂肪を多く取ることにつれて、増えていると言われています。

乾癬の原因は、詳しくは解明されていませんが、遺伝的素因を持っている人が、悪い環境因子(感染症、日光、ストレス、悪い生活習慣など)を受けることによって発症すると考えられています。

乾癬の症状

乾癬は、炎症性角化症の1つに分類され、症状は、厚い銀白色の「鱗屑」がみられ、境界が鮮明な「紅斑」を伴っています。頭部のほか肘頭、膝蓋、臀部など、継続的に刺激を受けやすい部位によく出ます。かゆみは個人差があり、ひどくかゆみがある場合もあれば、全く痒くない場合もあり様々です。

皮膚のターンオーバーは通常28~40日ですが、乾癬は表皮細胞の異常な増殖により、ターンオーバーが4~5日と非常に短くなってしまうため、落屑が起こります。

点状の丘疹に始まりますが、急速に拡大、多発し、融合します。様々な形態をとります。

  1. □ 点状の乾癬 p.punctata
  2. □ 滴状の乾癬 p.guttata
  3. □ 貨幣状の乾癬 p.nummularis
  4. □ 環状の乾癬 p.annularis
  5. □ 蛇行状の乾癬 p.serpiginosa
  6. □ 花輪状の乾癬 p.gyrata
  7. □ 地図上の乾癬 p.geographica

 

まずは皮膚科を受診し、しっかりと確定診断してもらうことが大切です。

乾癬の原因

乾癬の原因は、遺伝的な素因に、

  • ・食事(高タンパク、高カロリー)
  • ・不規則な生活習慣
  • ・気候(冬)
  • ・感染症(ケガ、風邪、扁桃炎)
  • ・薬剤
  • ・ストレス
  • ・タバコ、アルコール
  • ・皮膚の刺激、乾燥
  • ・日光
  • ・糖尿病、肥満、妊娠

などの色々な環境因子が加わって発症するといわれていますが、正確な発症機序については、まだよくわかっていません。

最新の研究では、本来体を守るための免疫機能の異常により、乾癬を発症することがわかったきました。TNF-α(腫瘍壊死因子)やTh17(リンパ球)などが原因で起きていると言われています。(諸説有り)

乾癬の特徴

ケブネル現象

乾癬患者の健康な皮膚の部分に刺激(物理的、温熱的、科学的)を加えると、乾癬皮疹を生じる反応を示します。

皮膚は刺激すると頑張ってしまう性質を持つため、できるだけ刺激をしない心掛けが大切です。
(かかない、お風呂、服装、日光、食事等)

乾癬はうつらない

「乾癬=感染」とイメージしてしまい、見た目も目立つことから、乾癬はうつる病気だと誤解している人もいます。乾癬が人から人にうつることは絶対にありません。ご家族や周りの人にも正しい知識を持ってもらうことが大切です。

乾癬と遺伝

乾癬になりやすい体質は遺伝するとも言われています。しかし、必ずしも乾癬が遺伝するわけではありません。遺伝要因だけでなく食生活やストレスなどの環境要因などによっても関わってきます。

日本人において、遺伝の確立は4~5%程度と言われています。

冬に悪化しやすい

乾癬は夏良くなり、冬に悪化するケースが多いです。中医学的には冬の方が乾燥がしやすく(=血虚)、血の巡りが悪くなる状態(=血瘀)になると考えます。

また、末梢の血液循環が悪くなるタバコなども悪化の原因になります。

乾癬の種類

乾癬には、尋常性乾癬のほか、滴状乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、関節症性乾癬などがあります。

尋常性乾癬

乾癬1乾癬の中で一番多い種類で、乾癬とは一般的には尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)のことを指し、全体の約90%を占めます。尋常性とは普通のという意味です。

皮膚が赤く盛り上がる「紅斑(こうはん)」、細かいカサブタのような「鱗屑(りんせつ)」が特徴です。

滴状乾癬

小児に多く、溶連菌感染の後などに直径1cm程度の小型の乾癬が多発します。

多くの場合、抗生物質の服用によって治りますが、尋常性乾癬に移行する場合もあります。

膿疱性乾癬

全身又は部分的に無菌性膿疱を生じ、尋常性乾癬に移行あるいは混在します。汎発性と限局性に大別されます。

汎発性膿疱性乾癬は、発熱、悪寒、全身倦怠感などを伴い、急激に全身の皮膚が赤くなり(紅斑)、その上に無菌性の膿疱が多数現れてきます。入院による治療が必要な場合があります。発症頻度は非常にまれですが、難治性であることや、治療に急を要することなどから、厚生労働省の難病に指定されています。

乾癬性紅皮症

乾癬性紅皮症

中国病院研修にて

尋常性乾癬の皮疹が全身に広がり80%以上が赤く紅皮症の症状になってしまった重症例。

個々の皮疹は尋常性乾癬にほかならないが、皮疹が全身に及ぶため、不完全な角層形成による脱水、電解質異常などひきおこします。また、表皮細胞増殖亢進に伴う大量のタンパクの消費は、しばし低タンパク血症の原因となります。

関節症性乾癬

非リウマチ性関節炎を合併する乾癬の事を言います。関節リウマチのように関節が腫れたり、痛んだり、ときに強い変形をきたすこともありますが、関節リウマチではありません。症状は、手と足の指の関節に多く見られます。爪の変形も多いです。

乾癬の治療

西洋医学の乾癬治療は以下のものが主体となっています。

ステロイド
  • ・最も強力なステロイド:デルモベート、ダイアコート、ジフラール
  • ・かなり強力なステロイド:マイザー、アンテベート、トプシム、リンデロンDP
  • ・強力なステロイド:リンデロンVG、ベトネベート、フルコート
免疫抑制剤
  • ・メトトレキサート(メソトレキセート)
  • ・シクロスポリン(ネオーラル、サンディミュン)
活性型ビタミンD3
  • ・オキサロール
  • ・ドボネックス
  • ・ボンアルファハイ
ビタミンA誘導体

・エトレチナート(チガソン)

紫外線照射
  • ・PUVA療法
  • ・UVB療法
今井 太郎(漢方の後楽堂薬局 薬剤師/薬学博士[Doctor of Pharmacy]/国際中医師)

執筆者:今井 太郎

漢方の後楽堂薬局 薬剤師/薬学博士[Doctor of Pharmacy]/国際中医師

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