痛み、こりのお悩み
頭痛は、日常的によくおこる疾患のひとつで、なんと日本人の4人に1人が悩んでいるといわれています。
頭痛持ちの方の漢方相談で多いのが、市販の鎮痛薬で一時的に痛みから解放されても痛みが繰り返すという訴えです。
再発のたびに鎮痛薬の服用を繰り返すケースが多くみられます。注意しなければならないのは、鎮痛薬に頼りすぎると、逆に頭痛が慢性化する場合があるということです。
頭痛の原因は様々です。漢方では、過剰で不要なものは除き、不足し必要なものは補い、停滞し滞ったものはスムーズに流すという、偏った体のバランスを整えることが痛みの予防と改善、そして再発防止につながると考えます。
漢方では頭痛の原因として次のようなことが考えられます。
ストレスや自律神経の乱れが原因で、気が滞り熱の症状となって痛みが起こります。
肝火頭痛は、キリキリ痛い、偏頭痛などと表現されることが多いです。
頭痛の他に、血圧や眼圧が高くなる、目が充血する、めまい、のぼせ、耳鳴りなどの症状が起こることがあります。
漢方薬では、釣藤散や竜胆潟肝湯(瀉火利湿顆粒)など肝火を抑え熱を取り除くものを用います。
漢方では、「不通則痛(=通じざればすなわち痛む)」といい、血の巡りがよくない状態が続くと痛みが発生しやすくなると考えます。
また、血行不良によって滞った血を“瘀血(おけつ)”といいます。瘀血頭痛は、一部分がズキズキ痛む、刺すような痛みであることが特徴です。
頭痛の他に、肩や首が凝る、生理痛がひどい、体が冷えるといった症状が慢性化していることも多くみられます。
漢方薬では、冠元顆粒や田七人参など血の流れを整え瘀血を取り除くものを用います。
生理前や生理中、疲れた時などは血を消耗しやすく、頭への栄養が不足しがちです。
漢方では、「不栄則痛(=栄ざれば則ち痛む)」といい、生命のエネルギーである「気」、体を巡って栄養を運ぶ「血」が不足している状態でも痛みが発生しやすくなると考えます。
血虚とは血が乏しい状態で、頭への滋養が足りないために頭痛が起こります。頭痛の他に、ふらつき、立ちくらみ、動悸、不眠などの症状が起こることがあります。
漢方薬では、婦宝当帰膠、帰脾湯など良質な血を補うものを用います。
疲れた時や朝に比較的多いのがエネルギー不足による気虚頭痛です。
気の不足によって気血の流れは悪くなり頭痛の原因となります。頭痛の他に、倦怠感、食欲不振、むくみ、息切れなどの症状が起こることもあります。
漢方薬では、補中益気湯や健胃顆粒など胃腸を補い気を高めるものを用います。
台風の前や雨の日の前後になると頭痛が起こる、頭がズーンと重たい感じに痛むなどと実感されることが多いです。
痰濁(=わるいもの)がからだに溜まると、気血の流れを阻み頭痛の原因となります。頭痛の他に、胃のむかつきや吐き気、めまいなどの症状が起こることがあります。
漢方薬では、半夏白朮天麻湯や苓桂朮甘湯など痰濁を取り除くようなものを用います。
現代医学では、慢性頭痛を『偏頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛』の3つに分類し治療を行います。
片頭痛は、女性に多く、脈打つ激しい痛みが特徴的な頭痛です。
治療にはおもに、脳の血管と三叉神経に作用し、片頭痛の根本的な原因をピンポイントで抑えるトリプタン系薬剤を用います。イミグラン、ゾーミック、レルパックス、マクサルト、アマージといった頭痛に特異的な治療薬です。
緊張型頭痛は、重だるい痛みで、精神的ストレスや肩や首の凝りが原因となることが多く頻度も高い頭痛です。
治療には、NSAIDSなどの鎮痛薬や筋肉の緊張を取り除くミオナールなどの筋弛緩剤、神経系に作用するデパス、セルシンなどの抗不安剤が用いられます。頭痛体操などを取り入れることもあります。
群発頭痛は、男性に多く、深夜、目の奥に激烈な痛みが起こるのが特徴です。
アルコールや喫煙、気圧の急激な変動などで悪化しますが、発症のメカニズムは不明です。
治療には、トリプタン系薬剤のスマトリプタン皮下注射や純酸素吸入法があります。
急な気温変動など外からの影響によっておこる一時的な頭痛もありますが、慢性頭痛の場合、からだ内部の不調が原因となっていることがほとんどです。
この場合、鎮痛剤で一時的な痛みを止める対処療法では再発頻度も高くなります。
個々のからだの状態から判断する漢方では、痛みの予防から痛みの緩和までサポートします。
長年の頭痛に悩んでいる・・、鎮痛剤が常にないと不安・・など頭痛に関するお悩みがありましたらぜひご相談ください。