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間質性膀胱炎と漢方について

間質性膀胱炎は、中年以降の女性に多い膀胱炎のひとつです。

年齢性別問わず発症しますが、体の構造上、圧倒的に女性がかかりやすい疾患といわれています。

間質性膀胱炎では、膀胱の間質に原因不明の炎症が起こり、頻尿や残尿感、尿意切迫感、排尿痛などの不快な症状があらわれます。炎症が激しい場合は、血尿が出ることもあります。他に、自己免疫疾患やアレルギー、自律神経の乱れなども原因と考えられています。

症状には個人差がありますが、状態によっては睡眠障害や精神的なストレスなど、生活に支障が出てしまう場合もあるようです。

一般的な細菌性膀胱炎との決定的な違いは、間質性膀胱炎は無菌性の膀胱炎で、抗生剤が効かない点です。また、慢性化すると、膀胱が繊維化して萎縮してしまうこともあるため早めの治療が必要となります。

間質性膀胱炎の「ハンナ病変」と呼ばれるタイプは、厚生労働省の難病指定になっています。

間質性膀胱炎を漢方で考えると?

間質性膀胱炎の症状の多くは、一般的な細菌性膀胱炎や過活動膀胱の症状と非常に似ていることや、原因が明確に分かっていないことから診断が難しいといわれます。

このため、長期間、抗生剤や膀胱の収縮を抑える抗コリン薬を服用しているけれどなかなか良くならない方、何度も再発を繰り返している方が、漢方薬を試してみたいとご相談に来られるケースもあります。

漢方では、間質性膀胱炎でよくみられる『頻尿・残尿感・尿意切迫感・排尿痛』などの症状を『淋証(りんしょう)』といい、これらの症状のタイプや体質などを考慮して漢方薬を選択します。

漢方的には、炎症の原因となる『膀胱の湿熱』、免疫力低下をもたらす『腎気虚損』、自律神経の乱れによる『肝鬱気滞』などによって間質性膀胱炎の症状があらわれている場合が多くみられます。

間質性膀胱炎と漢方薬

間質性膀胱炎では、膀胱の炎症を緩和することと、再発しない体を作ることが漢方での治療の中心になります。間質性膀胱炎の原因とよく用いる漢方薬には次のものがあります。

①  膀胱に湿や熱が停滞した『膀胱湿熱』

間質性膀胱炎の症状の中でも、排尿痛、灼熱感(ヒリヒリした感じ)、頻尿、尿がスッキリでない、血尿などの症状は、膀胱に余分な湿や熱が停滞し炎症が起こった状態と考えられます。
『湿熱』は体にとって不要な老廃物で、溜まってくるとなかなか除去しにくく、炎症の原因ともいえます。毎日の食事内容が痰湿を生み出していることも少なくありません。

漢方薬では、竜胆潟肝湯、猪苓湯、五淋散、五行草など湿熱を取り除くもの、水分代謝を促すものなどを用いることがあります。

②  免疫低下で繰り返しやすい『腎気虚損』

過労や慢性的な病気、出産、加齢などで体力が消耗すると、腎気(生命力)が不足し、膀胱の機能低下や免疫力の低下が起こりやすくなります。

間質性膀胱炎にみられる頻尿は、腎気の不足による固摂(尿を漏れ出ないように留めておく)のはたらきが低下した状態です。疲れた時に症状が出る、何度も繰り返す、腰のだるさやむくみなども腎気の不足による症状と考えられます。

漢方薬では、冷えを伴う方には八味地黄丸や牛車腎気丸、のぼせやほてりのある方には瀉火補腎丸などの腎気を補う補腎薬や、免疫を高めるシベリア霊芝(チャガ)などを用いることがあります。

③  自律神経の乱れによる『肝鬱気滞』

間質性膀胱炎の間接的な原因として、ストレスなどによる自律神経の乱れがあります。
精神的に不安定な状態が続くと、水分代謝も悪くなり、排尿困難や残尿感、お腹の張りや痛みなどの症状が現れることがあります。

漢方薬では、気の巡りを整えリラックスさせる加味逍遥散などの疏肝薬や、自律神経の興奮を和らげる安神薬、清心蓮子飲などを用いることがあります。

間質性膀胱炎では、複数の症状が影響している場合が多いため、正しい判断で漢方薬を選ぶ必要があります。漢方薬をご服用される場合は専門の薬局にてご相談されることをお勧め致します。

間質性膀胱炎のまとめ

間質性膀胱炎は、日本ではまだ認知度が低く、診断までに時間がかかってしまうこともあるようです。日常生活に支障が出てしまうことも少なくありません。

西洋医学では、少しずつ間質性膀胱炎の検査や治療法も進んできているようです。薬を服用してもなかなか良くならない、何度も繰り返している膀胱炎の症状は、一度間質性膀胱炎を疑って検査をしてみるのも大切です。

また、体質や日頃の生活習慣を見直すことも間質性膀胱炎の予防と改善に繫がります。
西洋医学で原因がはっきりしていない症状に対して、漢方で対応できることもございます。ぜひ一度ご相談ください。

今井 太郎(漢方の後楽堂薬局 薬剤師/薬学博士[Doctor of Pharmacy]/国際中医師)

執筆者:今井 太郎

漢方の後楽堂薬局 薬剤師/薬学博士[Doctor of Pharmacy]/国際中医師

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