男性のお悩み
最近、何となく疲れやすい、やる気や元気がない、性欲が落ちてきた、勃起不全(ED)、怒りっぽくなったと感じることはないでしょうか?
もしかしたら、男性ホルモンの低下やホルモンバランスの乱れによっておこる男性更年期かもしれません。
更年期というと女性に対するものが有名ですが、最近は男性でも不調を訴える人が増えており、泌尿器科やメンズクリニックなどで多く取り上げられるようになってきました。
男性更年期とは、男性ホルモンが減少することで起こる体の変化をいいます。
女性のようにある年齢で急激にホルモンが減少するのではなく、だんだんとゆっくり減少していくため、体の変化に気づきにくいことがあります。
時間が経ってもなかなか体が回復しないため、長い間おつらい思いをしている方も多いです。
男性更年期には一般的に下記のような症状があります。
男性更年期は40代以降で発症する確率が高くなりますが、発症年齢はばらつきが大きく、70代になって初めて不調が出てくる方もいます。
男性ホルモンが減少する要因としては加齢だけでなく、ストレス、運動不足、睡眠不足、偏食、肥満なども影響してきます。
また、男性ホルモン(テストステロン)の減少により肥満や高血圧、動脈硬化、糖尿病など生活習慣病のリスクが高くなると言われています。
男性更年期の診断は、自覚症状と血中の男性ホルモンの量(総テストステロンが250ng/dl未満および、遊離テストステロンが7.5pg/ml未満)で行います。
男性ホルモンが数値内であっても、男性更年期の症状が出ている場合は、あらわれている症状に合わせて対応していきます。
性欲の低下・EDの場合はED治療薬、不眠・不安感・鬱症状の場合は睡眠薬・抗不安薬・抗鬱薬などを用いることが一般的です。
男性ホルモンの数値が低く、男性更年期の症状が強く出ている場合は、男性ホルモンを補充することで症状の緩和を図ります。主に注射剤を用い、2〜4週間毎に定期的に投与します。
最近は注射剤以外に塗り薬を用いる方法もあります。
前立腺肥大や前立腺がんを有する方は、男性ホルモンが影響を与える可能性が高いため投与することができません。
漢方では主に「腎」の働きが弱まっている状態と考え、これを「腎虚(じんきょ)」といいます。
男性は8の倍数(女性は7の倍数)で体に変化が訪れるという考えのもと、32歳頃をピークに段々と腎の働きが弱くなってきます。
腎は生命力の根本を担っており、腎臓や膀胱などの泌尿器系だけでなく、生殖器系、ホルモンバランス、精力、歯、骨、耳、足腰など年齢を重ねることで衰えてくる部分を担っています。
更にストレス、過労、運動不足、睡眠不足、食事の偏りといった不摂生な生活習慣、過度な性生活によって腎が傷つけられ、衰えがより急になります。
漢方薬は腎の働きを補い、滋養強壮作用をもつような補腎薬を中心に用いることが一般的です。
補腎薬に使用される生薬の中でも、動物性の生薬の方が植物性の生薬よりも血肉化しやすいと考えられており、滋養強壮薬でも有名な鹿の角(鹿茸)やタツノオトシゴ(海馬)などを使うことが多いです。
補腎薬の例としては海馬補腎丸、参馬補腎丸、参茸補血丸、瀉火補腎丸、杞菊地黄丸、天王補心丹、六味地黄丸、八味地黄丸、牛車腎気丸などたくさんの種類があります。
また、ストレスやイライラ、不安感、鬱っぽいといった精神的な症状がある場合は「気」の巡りを良くしてリラックスさせるような理気薬を、不眠や動悸、疲れなど体を動かすエネルギーである「気」や栄養となる「血」の不足がある場合は補気薬・補血薬を一緒に用います。
働き盛りの世代に訪れる体調の変化。食事、睡眠、運動といった生活習慣を整えることが大切とは分かっていても、仕事の付き合いや重圧のかかる仕事でストレスを抱え、生活も不規則になりがちです。
気力でなんとかしようと思っても、ホルモンが関わっていてなかなか乗り越えられないところもあります。
という方は、一度漢方薬を試してみてはいかがでしょうか?