婦人病のお悩み
女性にとって、“毎月生理がきちんとくること”は、からだの状態を知る上でとても大切なことです。
無月経は、女性ホルモンの低下と大きく関わり、妊娠、授乳、閉経以外で生理がこない状態です。
無月経を放っておくと、将来の不妊につながったり、心身の不調、骨粗しょう症や動脈硬化のリスクが高まるなど、女性のからだと心に様々な影響が出るおそれがあります。
このため、生理が数ヶ月来ていない、周期が極端に乱れているなどの場合、早めに検査し、生理周期を整えておく必要があります。
無月経には、18歳過ぎても一度も月経がおこらない「原発性無月経」と、これまであった生理が3か月以上停止した「続発性無月経」があります。生理が来ない女性の大部分は、”続発性無月経”の状態です。
月経が始まった日を1日目と数えて、次の月経が開始する前の日までを月経周期と定義します。
月経には個人差がありますが、周期は25日~38日であれば正常です。周期が39日以上と長いときは稀発月経、24日以内と短い場合を頻発月経といいます。
妊娠以外で3か月以上月経のこない状態を無月経(続発姓無月経)、18歳以上になっても1度も月経の発来のないものを原発姓無月経といいます。ヘルスケアラボ
漢方では、「続発性無月経」の治療が中心となります。無月経の原因として、女性ホルモンの乱れとともに、からだ全体のバランスの崩れにも注目します。
漢方でからだを整えていくことで、何年も止まっていた生理が再開することもあります。
しかし、若い女性に多い過度なダイエットによる無月経では、体重を戻してもなかなか生理が来ないことも多く、改善に時間がかかることもあります。
子宮や卵巣のはたらきを回復させるためには、漢方で女性ホルモンの乱れやからだ全体のバランスを生理周期ごとに整えながら、食事内容の見直しと養生で胃腸のはたらきを高め、体力をつけていくことが大切です。
無月経の原因として、視床下部の機能異常や高プロラクチン血症、卵巣早衰、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などがあります。
また、ストレスや過度なダイエット、冷え、睡眠不足、甘いものやこってりした食べ物をよく食べるなど、日頃の生活習慣の影響が無月経の原因となっていることも多く見受けられます。
この様な生活を続けていると、脳の視床下部、下垂体、卵巣の働きが乱れ、女性ホルモンが不足した状態になり、やがて生理がこなくなってしまいます。
さらに、無月経を放置していると、子宮が萎縮して回復が難しくなることもあります。
卵子少し詳しい話になりますが、生理が毎月きちんとあることは、女性ホルモンの卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が正常に分泌している証拠です。無月経は、この2つの女性ホルモン分泌が乱れている状態と考えます。
漢方で対応しやすい続発性無月経は、その程度により、「第1度無月経」と「第2度無月経」に分けられます。エストロゲンの分泌は比較的保たれているけれど、プロゲステロンの分泌に異常があり無月経となっている状態を第1度無月経といいます。
一方、エストロゲンとプロゲステロンの両者の分泌に異常がある状態は第2度無月経です。無月経の程度としては、第1度無月経が軽症で、漢方でも改善しやすい傾向があります。また、第1度無月経では子宮内膜の増殖はありますが、第2度無月経ではありません。
これらの検査は、一般的に、ゲスターゲンテスト(プロゲステロンの注射後、出血があるか)で判断します。出血があった場合は第1度無月経、出血がない場合は、改めてプロゲステロンとエストロゲンを同時に使用して、出血が生じれば第2度無月経と判断します。
無月経の期間が長いほど、第2度無月経に陥いる割合も高くなります。体重減少性無月経では、短期間でも比較的第2度無月経になりやすい傾向があるため、無理なダイエットを続けることはおすすめできません!
無月経を長年放置して子宮の萎縮や若年閉経などが起こると、漢方でも回復に時間がかかり、改善が難しくなるケースもあります。
無月経のおもな原因を漢方で考えると、気血両虚(気や血が不足した状態)、気滞血瘀(気血の流れが滞った状態)、腎陽虚(卵巣や子宮のはたらき機能が低下した状態)などが考えられます。
気血は生理の栄養(原料)で、女性にとって大切なものです。
気血が不足した状態が続くと、子宮や卵巣に十分な気のエネルギーと良質な血が届かず、栄養不足になって、卵の育ちや排卵に影響がでてきます。その結果、無月経になる傾向があります。
漢方では、この状態を『気血両虚』といい、過度のダイエットによる無月経も、気血が不足し生理を起こすパワー不足によるものと考えられます。
漢方薬では、気血を補い、低下した子宮や卵巣の働きを助ける婦宝当帰膠、帰脾湯、十全大補湯などの補気補血薬を用います。
過労や過度なストレスなどで自律神経のバランスが崩れると、気血の巡りが滞り、女性ホルモンの乱れや血行不良から無月経を引き起こします。
漢方では、この状態を『気滞血瘀(きたいけつお)』といいます。
仕事や家事で忙しい女性に多く、普段から肩こりや頭痛、腰痛など血行不良の症状や、生理前や排卵前後に“張る・悶々とする・痛む”の気滞に特徴的な3症状が起こりやすい方によくみられます。
漢方薬では、気血を巡らせ流れを整える逍遙丸、冠元顆粒、芎帰調血飲、炒麦芽などの理気・活血薬を用います。
生理は、脳(視床下部、脳下垂体)から指令をうけた卵巣で卵が成長し、女性ホルモンが分泌されることで起こります。
しかし、加齢やストレスなどにより、視床下部-脳下垂体-卵巣のうちのどこかが障害されたり、卵巣のはたらきが低下すると、女性ホルモンの分泌に影響し無月経の原因になることがあります。
漢方では、卵巣のはたらきが低下した状態に加え、からだの冷えに伴う諸症状がある状態を、『腎陽虚(じんようきょ)』といいます。
腎陽虚では、生理を起こす力が不足しているため、数ヶ月生理が来ないこともあります。
漢方薬では、女性ホルモンや生殖機能など腎のちからを補う参馬補腎丸、参茸補血丸、胎盤エキス(オリジンP)、などの補腎薬をよく用います。
無月経に対する漢方は、原因、症状と体質によりたくさんの種類があるため、生理周期ごとに正しい方向性の漢方薬を選ぶことが大切です。
無月経は、女性ホルモンのバランスが整えば改善する症状です。
無月経の状態を長い間放置してしまうと、子宮や卵巣が萎縮して、妊娠しにくくなったり、女性ホルモンの乱れによる様々なからだの不調があらわれます。
しかし、多くの場合、ストレス、睡眠不足、ダイエット、不規則で偏った食事など、日頃の環境や生活習慣が、知らず知らずのうちにからだに負担をかけて無月経の要因となっています。
無月経は、女性ホルモンのバランスが整えば改善する症状です。
早めに気付き、漢方薬と養生で女性ホルモンのバランスを整えることで生理が再開することもあります。
生理の変化は、からだの訴えでもあります。一度、漢方薬を試してみてはいかがでしょうか?