生理痛
子宮内膜症とは、子宮内膜に似た組織が、子宮以外の場所に入り込み増殖した状態です。
子宮内膜は子宮の内側を覆っていて、生理のたびに月経血として脱落し、子宮が掃除されます。
しかし、血行不良など血の巡りが良くないと、しっかりと子宮内膜がはがれ落ちずに増殖し、生理のたびに炎症を起こします。
漢方では、血の巡りがよくない状態を『瘀血(おけつ)』といい、子宮内膜症をはじめ、チョコレート嚢腫や子宮筋腫、子宮腺筋症など婦人科疾患のおもな原因となります。
子宮内膜症の症状で多いのが、非常に激しい生理痛です。
いつも鎮痛剤が手放せないほどの辛い痛みで悩んでいる方も多く、受診してはじめて子宮内膜症であることが分かることもあります。また、子宮内膜症による癒着や排卵障害が原因で不妊になることもあります。
子宮内膜症は、漢方を飲んでいると比較的よくなることも多い疾患です。ホルモン剤の服用が不安な方や手術を躊躇われる方の中には、子宮内膜症の症状緩和を目的に漢方をはじめられることもあります。
などがあることが多いです。また、子宮内膜症では、血液中のCA-125という腫瘍マーカーが高くなることから参考にすることがあります。(CA125正常値:35IU/ml )
子宮内膜症は生理がくることで症状が進行しやすい病気です。
西洋医学では、子宮内膜症の治療法として、鎮痛剤で痛みを抑えるほか、低用量ピルやGnRH誘導体などのホルモン剤で排卵を抑え、女性ホルモン分泌を低下させる方法、合成黄体ホルモン剤、外科的手術(開腹手術もしくは腹腔鏡下手術)などが一般的です。
ホルモン剤で閉経状態にすると、更年期の様な症状や骨量低下などの副作用がでることがあります。また、治療を中止すると再び生理が始まり、子宮内膜症が進行してしまうこともあります。
漢方では、からだ全体の状態や女性ホルモンのバランスを調整しながら子宮の状態を整えていきます。
漢方では、子宮内膜症の原因として、おもに血の流れが良くない『瘀血(おけつ)』、ストレスや自律神経の乱れなどから気の巡りが滞った『気滞(きたい)』、からだを温める力が不足した『陽虚(ようきょ)』があると考え、からだ全体の気血水の巡りや五臓のバランスを整えることを考えます。
子宮内膜症では、漢方薬を継続的に服用していると、辛い生理痛などが緩和して子宮内膜症の状態も良くなることが比較的多いように感じます。
子宮内膜症の症状にみられる激しい生理痛や癒着は、おもに子宮周りの血の巡りがよくない瘀血によるものです。さらに、冷えやすい体質や自律神経の乱れなどが、瘀血を悪化させる大きな原因となります。
瘀血を改善する漢方薬として、冠元顆粒、折衝飲、田七人参、水快宝などの活血薬を用います。
ストレスなどで自律神経の乱れによる気滞症状がみられる場合、逍遥散などの疏肝薬を、冷えが強くからだを温める力が不足した陽虚がみられる場合、参馬補腎丸、参茸補血丸などの補腎薬を用います。
炎症による癒着があるときには、清熱解毒の漢方薬を併用することもあります。
子宮内膜症の発症や炎症の起こしやすさは、免疫力や新陳代謝とも関係があります。
からだを冷やさず、良質な睡眠をとり、バランスのよい食事をとるなど日々の生活習慣を改善し養生することで、免疫力が高まり、子宮内膜症になりにくい体質をつくっていきます。
病院で現在治療中である場合も、漢方を併用しながらおからだ全体を整えていきます。
子宮内膜症のご相談は、漢方に詳しい薬局などにご相談されることをおすすめいたします。