心臓・血管・脳のお悩み
動脈硬化によって心臓や脳、足などに障害が起こったり、命に関わる危険がある日本人は4人に1人といわれています。
動脈硬化は、高齢になって発症する印象がありますが、実は10代からジワジワと始まって、40代後半に発症することも決して珍しいことではありません。
恐ろしいことに、自覚症状なく進行することが多いため、気が付いたときにはすでに重症化しているケースも多いようです。
動脈硬化とは、『動脈が硬くなって血管がもろくなる』状態です。
主に、動脈の内壁にコレステロールなどが付着して血管が硬く狭くなると、血液が流れにくくなり、進行すると血栓(血の塊)が詰まって血液の流れを止めてしまう恐れもあります。ちょうど古くなってさび付いた水道管のイメージです。
動脈硬化が進行すると、脳卒中や狭心症、心筋梗塞、大動脈瘤、腎不全、下肢血行障害など、危険な症状を引き起こすことも考えられます。
動脈硬化は、原因や発症部位によっていくつかのタイプに分けられます。
代表的なアテローム性粥状動脈硬化の他、中膜硬化、細動脈硬化があります。
①アテローム性粥状動脈硬化
血液中のコレステロールや中性脂肪が高くなることが原因で発症します。
動脈硬化のタイプの中では最も多く一般的なものです。太い動脈の内側にコレステロールなどの脂肪がドロドロの粥状に溜まり、血管を狭め詰まらせる血栓の原因になる状態です。
脳や心臓への太い動脈に血栓が詰まり、脳卒中や心筋梗塞、狭心症などを引き起こすおそれがあります。
②中膜硬化
血液中のカルシウム量が増えて石灰化することで発症します。血管の中膜が硬くなり、酷くなると破れるほど脆くなってしまうといわれています。
心臓への太い動脈で起こりやすく、命に関わる大動脈破裂を引き起こしやすい状態です。
頸動脈や下肢の動脈でも起こりやすいといわれています。
③細動脈硬化
高血圧が原因で、毛細血管が硬くなることで発症します。脳や腎臓、目など細い毛細血管に起こりやすく、血管が細いことから破裂しやすい危険性があります。
動脈硬化のおもな原因は、
・加齢
・高血圧
・高脂血症
・喫煙
・肥満
・糖尿病
・ストレス
・運動不足
などです。この中で、「加齢」以外は、日頃の生活習慣と深く関係しています。
また、男性や閉経後の女性は発症しやすい傾向にあるようです。
『動脈硬化=血管の老化=血の巡りが良くない状態』で起こりやすくなります。年齢に関わらず、日々の生活習慣によって血管の老化スピードは変わってきます。
漢方的に、動脈硬化の原因である高血圧、高脂血症、肥満、糖尿病などは、全て血の滞りをもたらす『瘀血(おけつ)』『痰湿(たんしつ)』があって発症する疾患です。
これらは、加齢だけでなく、食事や睡眠、便通、ストレスなど日頃の生活習慣の乱れが大いに関わっていると考えられています。喫煙や運動不足は、瘀血や痰湿を生み出します。
動脈硬化のリスク因子を減らせば未然に防ぐことも不可能ではありません。
動脈硬化では、「血管内での血の循環」と「血管力」がカギとなります。
漢方では、動脈硬化のどのタイプであっても、常に血の巡りを整えて『瘀血(血の滞り)』と『痰湿(ネバネバした老廃物)』を作らないことが症状を未然に防ぎ、改善につながると考えられます。
リスク要因とされる高コレステロールや高血圧、糖尿病などの生活習慣病も、瘀血・痰湿が根底にあり、血管力の低下や血流障害を引き起こすといえます。
中国では、瘀血や痰湿を取り除く『活血化痰(かっけつかたん)』作用のある漢方薬などを用いることが多く、血の巡りを整え、弾力のある血管を作ることを考えます。
また、動脈硬化が症状として現れる前には、太い血管へ栄養を届けている細い血管(毛細血管)の異常もみられることが多く、細い血管の状態を良くすることも大切です。
漢方薬では、丹参や田七人参、沙棘油などを使うことがあります。
特に、丹参を主成分にした冠元顆粒は、細い血管、太い血管どちらの血流も良くする漢方薬として、動脈硬化の予防の段階から有効であると考えられています。
その他、ストレスや生活の乱れなど総合的に判断して正しい漢方薬を選ぶ必要があります。
西洋医学では、検査をして動脈硬化であると診断された場合、食事や運動など日常生活の見直しとともに薬物療法を行うのが一般的です。
コレステロールを下げる薬や降圧剤、抗血栓薬、ビタミンE製剤など、基本的には、原因とされる危険因子をコントロールする治療を行います。
動脈硬化のまとめ
動脈硬化を未然に防ぐには、日頃から検査や診断などで自分の体の状態を知っておくことが大切です。偏った食事や睡眠の乱れ、喫煙、過度なストレス、運動不足・・など、毎日の習慣が動脈硬化を引き起こす原因となっているかもしれません。
特に、血圧やコレステロール、血糖、腎機能、急な体重増加など心配のある方は、これといった自覚症状がなくても、生活習慣の改善や漢方薬の活用などで予防をしておくことが動脈硬化を防ぐ一歩につながります。
動脈硬化の予防や改善で漢方薬をご希望の場合は、専門の薬局にてご相談することをお勧めいたします。