ストレスのお悩み
「眠りたいのになかなか眠れない」
不眠の症状は、誰しもが一度は経験したことがあると思います。ストレスがかかる時、心配事がある時、試験前日など原因はさまざまです。
不眠の症状がでても、通常は数日から数週のうちにまた眠れるようになり、不眠症にはあたりません。
こんな症状が週3回程あり、1ヵ月以上続く場合、不眠症の可能性を疑います。
日本人においては、5人に1人が悩んでいるといわれる不眠症。
その数は年齢とともに増加する傾向にあります。まさに不眠症=国民病ともいえます。
漢方では、不眠の原因は「心血の消耗」、「神経の乱れ」、「老廃物の蓄積」などで考え、アプローチしていきます。
漢方では、不眠の原因として次のようなことが考えられます。
胃腸が弱く、気血が十分に満たされていないと、心血の不足しがちになり、不眠の症状がでてきます。
不眠(寝つきが悪く、夢が多い、眠りが浅い)、動悸や疲れやすさ、食欲不振などの症状が現れやすくなります。
漢方薬では、心脾顆粒、加味帰脾湯(イライラや熱症状などがあるとき)など気血を補いながら脾胃(胃腸)を強めるものを用います。
からだのバランスが崩れ、余分な熱がこもった状態を「心腎不交」といいます。「腎」が消耗し、「心」をコントロールできないときに不眠の症状がでてきます。
不眠(心がそわそわ落ち着かず、途中何度も目が覚める)、手足の裏がほてる、寝汗をかく、喉が渇くなどの症状が現れやすくなります。
漢方薬では、天王補心丹など、潤わせて熱を冷ますものや精神を落ち着かせ安眠を促すものを用います。
憂うつ・怒り・悲しみ・悩みの感情やストレスが影響して、精神を安定させる「血」が不足して不眠が起こります。
不眠(寝つきが悪い)、驚きやすい、胸やお腹の張り、ため息がよくでるなどの症状が現れやすくなります。
漢方薬では、酸棗仁湯や加味逍遥散など血を補い、気血を巡らせるものを用います。
胃腸が弱かったり、お酒や脂っこい食事や過量の水分を好んでとっていると、痰濁(=悪い老廃物)がたまり、熱がこもり、不眠となります。
不眠(眠りが浅く、熟睡感が得られない、夢が多い)、体全体が重だるい、めまい、胃がムカムカするなどの症状が現れやすくなります。
漢方薬では、温胆湯など痰をとり熱を冷ますものや、胃の消化を助ける晶三仙などを用います。
現代医学では、不眠症には睡眠薬を用いるのが一般的です。
現在良く使われる睡眠薬には、脳の活動を鎮めて眠りに導く薬(ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系睡眠薬)と睡眠・覚醒のリズムを整えて眠りに導く薬(メラトニン受容体作動薬)の主に2つの不眠症に対する薬があります。
これまでは、眠りへの過度の不安や緊張による脳の興奮状態が不眠をもたらす主な原因と考えられてきました。しかし、現代人の生活スタイルの変化により、眠りを促すホルモン、メラトニンの分泌が低下し体内時計が乱れることが原因の不眠が増えているようです。
また、薬物療法に頼らず、良い睡眠習慣を身につける指導を受ける治療もあります。
パソコンやスマートフォン、TVなどを眠る直前まで見ている生活があたりまえの現代社会。
本来眠る時間に強い光刺激を受けると、眠りをうながすメラトニンが分泌されにくくなり、体内時計が乱れて、寝つきが悪くなったり、日中に眠気が襲ってくるようになります。
また、夜ふかしや遅い時間の暴飲暴食など不規則な生活も体内時計が乱れ不眠の原因となります。店頭では、ストレスによる精神的な原因で不眠になっている場合も非常に多く見られます。
生活習慣の見直しや養生を心掛けることも不眠の改善には大切です。
ぜひ実践してみてくださいね。