生理痛
チョコレート嚢腫(チョコレート嚢胞)は、卵巣に発生した子宮内膜症で、正式には、「子宮内膜症性卵巣嚢胞」といいます。
子宮内膜は、受精卵の着床するベッドのようなもので、妊娠する場所です。妊娠しなければ剥がれて、月経血となって体外に排出されます。この子宮内膜が本来あるべき子宮以外の場所(卵巣、腹膜、子宮を支える靭帯、膀胱・腸・肺・肝・臍など)にできてしまう病気を子宮内膜症といいます。卵巣にできるとチョコレート嚢胞となり、腹膜などにできると癒着をおこします.主な症状として,痛みや不妊症などがあります。
一般的に、チョコレート嚢腫は子宮内膜の一部が卵巣で増殖して、月経のたびに出血し貯留して囊胞(ふくろ)を形成します。卵巣に出血の血液が溜まって古くなると、チョコレート状になる症状です。通常、エコーやMRIで卵巣の腫れや肥大が認められます。
チョコレート嚢腫は、痛みが全くないこともありますが、炎症を繰り返すことで腸や周辺臓器への癒着も起こりやすく、激しい痛みを伴います。漢方相談でも、おもに20代~40代の女性に比較的多い疾患です。
西洋医学では、チョコレート嚢腫の原因として月経時に剥がれ落ちた子宮内膜が卵管を逆流して卵巣で増殖する説などがありますが、はっきりとわかっていません。
などがあることが多いです。
また、チョコレート嚢腫の0.7~1%がガン化することがわかっています。40歳以上、嚢胞経が5センチ以上でリスク要因となります。
チョコレート嚢腫とは、卵巣に発生した子宮内膜症です。
子宮以外の卵巣で子宮内膜が増殖し、古い血液が溜まって卵巣が腫れ、痛みや癒着の原因となります。症状として、激しい月経痛、経血量の増加、癒着による排便痛や腰痛、性交痛などが多くみられます。不妊の原因やわずかですがガン化することもある病気です。
子宮筋腫とは、子宮にできる良性の腫瘍です。
女性ホルモン(主にエストロゲン)の影響を受けて大きくなり、閉経とともに自然と小さくなる傾向があります。無症状のこともありますが、筋腫の出来る場所や大きさ、数により症状は変わります。月経痛や不正出血、貧血が現れることが多く、不妊や周りの臓器を圧迫して排尿トラブルや便秘、お腹の張りなどが起こることもある病気です。
チョコレート嚢腫は、西洋医学では、鎮痛剤で一時的な痛みを抑えるほか、低用量ピルやGnRH誘導体などのホルモン剤で女性ホルモンの分泌を抑えて子宮内膜の増殖を抑える方法、外科的手術(開腹手術もしくは腹腔鏡下手術)などが一般的です。
ホルモン剤では、女性ホルモンを低下させて閉経状態にするため、更年期の様な症状や骨量低下などの副作用がでることがあり、長期の服用は難しくなります。チョコレート嚢腫のサイズや状態などによって治療法も異なります。
チョコレート嚢腫は、漢方の服用を続けて、手術が回避できるくらいの大きさまで改善したケースもあり、比較的予後が良いことが多いように感じます。
まずは、現状以上にチョコレート嚢腫を育たせないことを目標に治療を続けることが重要です。
また、漢方はチョコレート嚢腫による激しい月経痛や過多月経の緩和や予防にも効果があります。
漢方では、チョコレート嚢腫の原因として、おもに血の流れが良くない『瘀血(おけつ)』と水分代謝・排泄の低下『痰湿(たんしつ)』があると考え、全身の気血水の巡りやバランスを考えます。
その他、ストレスや過労、睡眠不足などで自律神経が乱れ、気の流れが滞る『肝鬱気滞(かんうつきたい)』の状態も、チョコレート嚢腫の一因となることがあります。
チョコレート嚢腫では、『瘀血・痰湿・気滞』を改善する漢方薬を中心に、個々の体質や体調、癒着の状態などを考慮して漢方薬を選択します。
瘀血を改善する漢方薬として、冠元顆粒、折衝飲、血府逐瘀丸、田七人参などの活血薬を、痰湿を改善する漢方薬として、温胆湯やシベリア霊芝(チャガ)などの化痰薬を用います。
ストレスなどの影響で、気滞症状がみられる場合、加味逍遥散などの疏肝薬を併用することもあります。炎症による癒着があるときには、清熱解毒の漢方薬を用いることもあります。
根本的にからだが冷えていると、子宮周りの血流も悪くなりやすいため、冷えを改善することも大切です。免疫力や新陳代謝もチョコレート嚢腫の発症や炎症の起こしやすさに関わるため、日頃の睡眠や食事内容などの養生部分の見直しも必要になってきます。
病院で現在治療中である場合も、漢方を併用しながらお体全体を整えていきます。