婦人病のお悩み
女性の頭痛の原因に、生理との関係があります。生理2日前~生理3日目あたりにおこる頭痛の悩みは、特に30~40代の女性によくみられます。
と訴える方が多いです。
また、排卵日前後にも起こりやすく、頭痛と女性ホルモンの変動が関係しているといわれています。生理前や排卵後は、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が急減、これに伴い、セロトニンという精神状態を整える脳内物質も減少することで、脳内の血管が拡張し、頭痛が起こるという説があります。
ちなみに、生理がいったん止まる妊娠中は、エストロゲンの変動が少なく頭痛が軽減、出産後に再発することもあります。エストロゲンが減少する閉経後も頭痛が起こりやすく、更年期症状の1つと捉えられることもあります。
現代医学では、生理前の頭痛の治療薬として
などが一般的です。特に痛みの強い生理前の頭痛(片頭痛)には、片頭痛治療薬のトリプタン製剤を痛みが出始めてから服用します。
また、生理前や更年期に起こる頭痛には、低用量ピルで女性ホルモンの変動をなだらかにして痛みを和らげることもありますが、ピルの休薬期間(血中のエストロゲン量が低下する期間)に頭痛が再発することもあるようです。自律神経の乱れがみられる頭痛に対して、抗不安薬などが用いられます。
漢方では、生理前や排卵前後の頭痛の原因として、おもに気(エネルギー)や血の状態を重視します。
『不通則痛(気血が巡らないと痛む)』『不栄則痛(気血の栄養が行き届かないと痛む)』という考え方に基づき、気血の乱れを整え、痛みを和らげます。
生理前後は特に血が不足しやすい時期です。
血が不足した『血虚』の状態が続くと、頭に栄養が届かず、しくしくといつまでも続く痛みや、じんわりとした痛みを伴う頭痛がおこりやすくなります。
漢方薬では、良質な血を補う婦宝当帰膠などを用います。
生理前や排卵前後は、女性ホルモンの変動が大きく、その影響で自律神経も乱れやすい時期です。
漢方では、自律神経のバランスが崩れ、気の巡りが滞ることを肝鬱気滞といい、張って痛む頭痛がよくおこります。
また、肝鬱気滞の状態が長く続くと、イライラしたり怒りっぽくなって熱火が上逆する肝火上炎になりやすく、頭頂部に痛みを感じたり、めまいを伴うこともあります。
漢方薬では、気の流れを整える逍遙丸や加味逍遥散、熱の症状が強ければ竜胆潟肝湯などを用います。
生理や排卵前後に疲れや睡眠不足などで体の消耗が激しいと、エネルギーである“気”の不足より頭痛がおこることがあります。血虚による頭痛と同様、じんわりと長引く痛みが続きます。
漢方薬では、気を補う補中丸などを用います。
その他、血行が悪くキリキリと刺すような痛みを伴う『瘀血(おけつ)』頭痛や水分代謝が低下して重だるい痛みを伴う『痰湿(たんしつ)』頭痛などもあります。
この場合、気血水の流れを整えることが必要となります。血の巡りを整える冠元顆粒などの活血剤を併用することもあります。
生理前は、気血水のバランスが乱れやすく、いくつかの原因が組み合わさって頭痛を発症している場合もあります。
お悩みは一度漢方薬局でご相談されてみてはいかがでしょうか。