婦人病のお悩み
子宮頸部異形成とは、子宮の入り口である子宮頸部の細胞がなんらかの変異を起こし、正常とは言えない細胞になっている状態です。
自覚症状が基本的には無いため、子宮頸がん検診の細胞診で発見される事がほとんどの疾患ですが、異形成自体は、癌ではありません。
発症の原因としては、ほとんどがヒトパピローマウイルス(HPV)の長期感染によるものです。HPVに感染しても、免疫機能によって約90%の人はウイルスを体外に除去できますが、何らかの原因によってウイルスが体内に残り、感染が持続すると異形成となります。
異形成にはその病変に程度があり、細胞の変異度合いによって、軽度→中等度→高度と進行していきます。高度異形成の一部は癌に進行する事もあるため、子宮頸部異形成は子宮頸癌の前段階と言われています。
ちょっとした炎症などでも軽度の異形成は起きていることがありますが、この場合は、自身の免疫力でほとんどが自然治癒します。また、異形成は可逆性疾患のため、高度異形成の診断が出た後に、軽度異形成に変化することもあるようです。
子宮頸癌の検査結果は以前まではクラス分類と言うI~Vの5段階で分類をしていました。
しかし、医療従事者側が、より細かい微妙な異常の分類を行えるように、現在は国際分類でもあるベセスダシステムに基づいた分類に移行しているようです。
ベセスダシステムに基づいた分類は以下のようになっています。
中医学的には、細胞の変異による変形・しこりなどは、「瘀血」によるものと考えるため、漢方薬では「田七人参」や「爽月宝」と言った活血薬や、自然治癒力向上のため、免疫力を調整する「衛益顆粒」「シベリア霊芝」などを使います。
また、子宮頸部異形成の発症原因がウイルス感染によるものと考えると、抗ウイルス作用があると言われている「板藍根」なども併せて用いることがあります。
子宮頸部異形成の場合、西洋医学的な薬物療法はありません。
軽度異形成や中度異形成の場合は、自然治癒することが多いため、基本的には定期的な経過観察を行っていくことになります。
また、高度異形成が長期に渡って継続している場合は、子宮頸部の異形成がある部位を円錐形に切除する手術療法(子宮頸部円錐切除術)が行われることが多いようです。
子宮頸部異形成は20~30代の女性に増加傾向にあると言われています。
子宮頸部異形成の発症の原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)によるものですが、HPV自体はごくありふれたウイルスのため、性交渉経験のある女性の半数以上はHPV感染経験があると言われています。
しかし、感染をしても、ほとんどの場合が自分の免疫力によって自然治癒をしています。つまり、感染したからと言って全てが異形成を起こしたり、癌化すると言うわけではありません。本来は、自身の免疫力で、ある程度は除去・治癒できるものなのです。
自身の自然治癒力や免疫力を上げるためには、バランスの取れた食事・質の良い睡眠・規則正しい生活と言った、普段のライフスタイルを整えることが大きく関わってきます。ご自身のライフスタイルを振り返ってみて、いかがでしょうか?
現代社会はかつてないストレス社会と言われています。PC・スマホの普及や24時間営業の店が増えることで、食生活や生活リズムは不規則になっており、それにより心身共に負担が大きくかかり、本来の体が持っているはずの自然治癒力が低下していることは否めないように感じます。
ご自身のライフスタイルを見直し、できる範囲で、体に負担のない生活をこころがけてもらうと言うことも大事なのかもしれません。また、定期的な検診を受け、早期発見をこころがけてください。
漢方薬の服用の際は、こう言ったライフスタイルの改善のご提案もさせていただきながら、自然治癒力・免疫力向上のサポートをしておりますので、お悩みの方は一度ご相談ください。