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ストレスのお悩み

自律神経の乱れと漢方について

自律神経病院で検査をしても特に悪いところはないけれども、なんだか体調がすぐれない・・・そんなご経験はありませんか?

現在、検査をしてもよくわからない不調に対して、“ストレス”や“自律神経の乱れ”が原因であると言われてしまうことが多く、抗不安薬や抗うつ薬などでコントロールする治療が広く行われています。

しかし、新薬を飲み続けることへの不安感や、眠気やだるさなどの副作用がでてしまうという声をよく聞きます。

漢方では、次から次へと不快な症状が出やすい自律神経の乱れに対し、からだ全体のバランスを整え、心身をリラックスさせ、症状の改善をはかっていきます。

自律神経の乱れとは?

自律神経とは、自分の意思とは関係なく、24時間体の機能をコントロールしている神経です。自律神経には、昼間や活動時に活発になる交感神経と、夜や安静時に活発になる副交感神経があります。

この2つの神経のオンとオフの切替がうまくいかず、バランスが崩れた状態が「自律神経の乱れ」と考えます。長期にわたるストレスや過労、睡眠不足、不規則な生活、環境の変化などによって自律神経のはたらきに乱れが生じると、心身にさまざまな不調があらわれます。

自律神経の乱れを漢方で考えると?

漢方では、おもに五臓の『肝』(自律神経系と関係がある)や『心』のはたらきの低下が、自律神経の乱れによるさまざまな症状をもたらすと考えます。

漢方では、鬱滞している気を巡らせ、不足している気血を補うことで、交感神経と副交感神経のバランスを調整します。

① 肝気が滞り、自律神経が乱れる『肝気鬱血(かんきうっけつ)』

加味逍遥散不安感、イライラ、緊張、焦燥感などのさまざまな精神症状の他、頭痛、喉のつかえ、お腹や脇腹の張り、胸痛などの身体症状があらわれます。

女性では、生理前、情緒不安定になりやすくなったり、更年期の症状としてあらわれやすくなります。

漢方では、鬱滞した気を巡らせ自律神経の乱れを整える加味逍遥散や開気丸などを用います。

② 心血が消耗し自律神経が乱れる『心脾両虚(しんぴりょうきょ)』

心脾顆粒過剰な心配や不安感、常にビクビクしている、物忘れが多いなどの精神症状の他、息切れや動悸、貧血、めまい、倦怠感、不眠などの身体症状があらわれます。

漢方では、脾気と心血を養い、精神安定のはたらきのある心脾顆粒や酸棗仁湯、柴胡加竜骨牡蛎湯などを用います。

③ 老廃物が停滞し自律神経が乱れる『痰熱内擾(たんねつないじょう)』

温胆湯日頃からお酒や脂っこい食事や過量の水分を好んでとっていると、胃腸に負担がかかり、痰湿(=悪い老廃物)がたまりやすくなります。

この痰湿が長期にわたって停滞すると、熱化して痰熱となり取ることが難しくなります。痰熱は、心のはたらきを阻害し、自律神経の乱れや不眠(眠りが浅く、熟睡感が得られない、夢が多い)にもつながります。

漢方では、不要な痰湿をとり、自律神経の状態をもとの健康な状態に戻す温胆湯や瀉火利湿顆粒などを用います。

自律神経の乱れと漢方のまとめ

漢方では、『心身のバランスの乱れを健康な状態に戻す』という考え方に基づいて治療を行うため、こころとからだ両面からのサポートしやすく、からだの自然治癒力を高めます。

自律神経の乱れのような、原因がはっきりせず、西洋医学で診断が付きにくい症状に対して、漢方は得意な分野といえます。

個々の体質に合った漢方薬を選び治療ができること、眠気などの副作用も起こらず、安心して服用を続けられることも漢方の大きなメリットです。

自律神経の乱れでお悩みの方は、ぜひ一度漢方専門の薬局でご相談されてはいかがでしょうか。

今井 太郎(漢方の後楽堂薬局 薬剤師/薬学博士[Doctor of Pharmacy]/国際中医師)

執筆者:今井 太郎

漢方の後楽堂薬局 薬剤師/薬学博士[Doctor of Pharmacy]/国際中医師

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