ストレスのお悩み
不安や心配は、誰しもが日常で感じますが、病的に不安を感じる状態を不安神経症といいます。
不安神経症は、過度に不安な気持ちになる、自分自身不安の理由が分からない、他人に不安を説明できない、日常生活に影響がでるくらい不安が長く続く、予期不安が起こるなど、通常の不安感よりも強く長く続き、日常生活に支障が生じてしまう状態です。
実際に、不安神経症では下記のような不安症状や不安発作がみられます。
他にも、めまいや頭痛、頻脈(脈が速くなること)、ふるえ、胸の痛み、発汗、頻尿、下痢などの身体症状が不安感と同時に現れることもあります。
不安神経症の原因は、明らかにはなっていません。
精神的なストレスやショックなどがきっかけで発症するケースが多いとされていますが、こうしたきっかけなしで発症することもあります。
また、脳内の神経伝達物質GABA(γ-アミノ酪酸)やセロトニンのバランス異常が原因のひとつとも考えられており、一般的な西洋医学の治療では、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬やSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの薬物療法とカウンセリングなどの精神療法で治療が行われることが多いようです。
多くの場合、症状の変動や再発を防ぐため、治療は数年続きます。しかし、薬によっては依存性や眠気、ふらつきなどの副作用が起こりやすいものもあります。
不安神経症に対して、漢方では、鬱滞している気を巡らせ、不足している気血を補うことで、乱れた自律神経のバランスを調整していきます。
不安神経症による不安感は、五臓の『肝』(自律神経系と関係がある)や『心』のはたらきが低下したときにあらわれる感情です。
おもに、不安神経症は、①『肝気』の異常と ②『心血』の消耗 が原因となっていることが多く、肝気の異常が長く続くと、気血が消耗し不足して、不安神経症の症状がより深刻になると考えます。
不安感や憂鬱感、緊張、イライラなどの精神症状の他、肩こりや頭痛、喉のつかえ、お腹の張り、胸痛などの身体症状があらわれます。漢方では、鬱滞した気を巡らせ自律神経の乱れを整える加味逍遥散や半夏厚朴湯、温胆湯などを用います。
不安感や過剰な心配、物忘れが多いなどの精神症状の他、動悸や息切れ、めまい、倦怠感、貧血、不眠などの身体症状があらわれます。漢方では、脾気と心血を養い、精神安定のはたらきのある心脾顆粒や酸棗仁湯、柴胡加竜骨牡蛎湯などを用います。
その他、感應丸気や牛黄清心丸などの気付け薬(気の乱れをもとに戻す薬)は不安神経症の発作予防に効果があります。また、ストレスに対する抵抗力を高めるお茶としてシベリア人参茶などもあります。
漢方では、『乱れた心身のバランスを整える』という考え方に基づいて治療を行うため、心とからだ両面からのサポートがしやすく、からだの自然治癒力を高めることがあります。不安神経症のような西洋医学では原因がはっきりしていない症状に対しても、個々の体質に合った漢方を選び治療することができます。
また、眠気などの副作用も起こらず、安心して服用を続けられるのも漢方の大きなメリットです。
現在、抗不安薬などの西洋薬をご服用頂いている方の中には、薬で抑えている症状が再発するのではないか?精神安定剤をずっと続けていても大丈夫なのか?など様々な不安や疑問を抱えていらっしゃる方も多いかと思います。
はじめは漢方を一緒に併用し、症状が落ち着いて体質も変わってきたら徐々に西洋薬を減薬できることもあります。漢方は西洋薬に比べ、穏やかな効き目ですが、独特な生薬の香りが症状の軽減につながることも特徴のひとつです。
不安神経症でお悩みの方、西洋薬でいまひとつ症状が安定しない方は、ぜひ一度漢方専門の薬局でご相談されてみてはいかがでしょうか。