その他のお悩み
ヘルペスは、ヘルペスウイルスによる感染症です。ヘルペスウイルスはとても身近なウイルスで、子供の頃にかかる水ぼうそうも同じヘルペスウイルスが原因です。
ヘルペスウイルスの中でも、「単純ヘルペスウイルス」による口唇ヘルペスや性器ヘルペス、「水痘・帯状疱疹ウイルス」による水ぼうそうや帯状疱疹はよくみられる症状です。
特に、唇の周りに赤い水ぶくれのできる口唇ヘルペスは、体力や免疫力が低下したときに発症しやすく、日本人の10人に1人が経験しているといわれています。
また、一度治っても再発しやすいことがヘルペスの特徴です。
ヘルペスを再発する度に、抗ウイルス薬で症状を抑える治療を繰り返しているけれど、なにか根本的な解決法はないのでしょうか?”と漢方相談にいらっしゃるお客様が増えています。
ヘルペスの症状は、4つの段階を経ておよそ2週間で治っていきます。
① ヘルペスのきざし『ピリピリ、ムズムズ、チクチク』
口唇やその周囲に、ピリピリ、ムズムズ、チクチクといった違和感があらわれます。痒みやほてりを伴うこともあります。これらの症状は、口唇ヘルペスの水ぶくれが現れるきざしです。
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② 赤く腫れる
違和感や痒み、ほてりを感じてから、半日以内に皮膚が赤く腫れ上がってきます。ウイルスの増殖が活発になっている時期です。ウイルスの増殖は72時間でピークに達するため、ウイルスが増殖しきらないうちに治療を開始することが大切です。
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③ 水疱(水ぶくれ)ができる
発症後、1~3日くらいで赤く腫れた部分に5ミリ大の水疱(水ぶくれ)ができます。この中にウイルスが沢山存在するので、破れた水疱に接触したり、飛沫感染(くしゃみや咳で唾液や鼻水が飛び散る)すると感染します。
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④ かさぶたができる
時間の経過とともにかさぶたになって治っていきます。
ヘルペスは、ストレスや過労などで心身ともに疲れているときや風邪で免疫力が低下している時などに再発しやすいといわれています。
その理由は、ヘルペスは、一度感染すると人間の神経細胞の中に隠れ潜んでしまう『潜伏感染』の特性を持っているからです。
つまり、普段は神経細胞の中でじっとしていますが、体の抵抗力が衰えているときなどに、急に出てきて暴れ出します。
現在の西洋医学では、体内に入ったヘルペスウイルスを排除することはできません。
一般的には、ヘルペスウイルスの増殖を抑える抗ヘルペスウイルス薬(バルトレックス、ゾビラックス、アラセナなど)を使用します。また、状態に合わせて、痛み止めや抗うつ剤(神経の痛みに対して使われることがある)、ビタミン剤、抗生物質などを用いることもあります。
漢方では、ヘルペスによる赤みや腫れ、痛み(風熱毒)や水疱(湿熱)が盛んな時期は、これらの“湿熱や風熱毒をとっていく漢方”を中心に治療を行います。
また、炎症症状が治まった後もしばらくは、再発を防ぐために“免疫を高める漢方”を用います。
湿熱をとる瀉火利湿顆粒や五行草茶、風熱毒をとる涼解楽や黄連解毒湯、抗菌・抗ウイルス作用のある板藍茶などの『清熱解毒薬』といわれる漢方をおもに用います。
バリア機能を強化し、免疫を高めて再発を防ぐ衛益顆粒やチャガ、瀉火補腎丸や八仙丸などの『補腎薬』といわれる漢方をおもに用います。
繰り返すヘルペスでお悩みの方や体質から変えていきたい方は、漢方専門の薬局でご相談してみてはいかがでしょうか。
そもそも、なぜヘルペスに感染してしまうのでしょうか。
感染しやすい人の背景には
の3つの原因が影響していると考えられます。
つまり、普段から、ストレスが少なく、胃腸が健康で、気力体力が充実している人はヘルペスにはかかりにくいのです。冷たいものの取り過ぎで、胃腸に負担がかかり、湿熱を溜めやすい体質になっていることも多いですので気をつけましょう。
よく耳にする帯状疱疹後神経痛。これは、帯状疱疹の皮膚症状が消えた後も、痛みが長期間残る状態で、発症から3か月たっても痛みが残っている場合を指します。一般に、ピリピリ、チカチカ、ズキズキ、焼けるような、などさまざまに表現される痛みが起こります。
西洋医学では、痛み止めの内服や、神経ブロック注射(局所麻酔)などで一時的に痛みを抑えるのが一般的です。漢方では、病邪が皮膚深くに入り込んで流れを邪魔しているために起こった痛み考え、気血を巡らせる漢方や、筋の緊張をほぐす漢方などを使うことがあります。
アトピー性皮膚炎の人は、皮膚のバリアが弱いため、単純ヘルペスウイルスに簡単に感染しやすく、「カポジ水痘様発疹症」を合併し重症化することがあります。
広範囲にわたって顔や首などに小さな水疱ができ、リンパ節の腫れや高熱が出ます。アトピー性皮膚炎自体の悪化と見分けがつきにくいことがあるため、早めに病院に受診することをお勧めします。