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排卵痛と漢方について

排卵痛女性の月経にまつわる不調の一つとして、「排卵痛」があげられます。

「排卵痛」自体は病名ではなく、排卵期の前後に下腹部や腰などに痛みが出る・出血することがある、などの症状ですが、その痛みの内容や程度、原因も人によって様々です。

しかし、実はこの排卵痛も、生理痛同様、本来は「無い」のが正常な状態です。

一部の方は、痛み止めが必要なくらいに痛むと言う方もいらっしゃいますが、そう言った場合は子宮腺筋症や卵巣の腫れなどの病因があるかもしれません。あまりにも痛む方は一度病院も受診されてみてください。

 

排卵ってどんなもの?

排卵とは、卵子が卵巣の壁を突き破って外に飛び出す現象のこと。その際、卵巣が少し傷つくため下腹部の軽い痛みや張り、腰痛などが起こったり、少量出血したりする場合があるといわれています。これが「排卵痛」です。排卵痛は病気ではないので心配はいりません。むしろ、きちんと排卵があったしるしともいえます。

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女性は約1ヶ月の月経周期の中で、前半の約2週間をかけ、卵巣の中で卵胞を成熟させます。この際に卵胞は直径20 mm 程度まで成長します。

そして充分に成熟したところで、卵巣の表面に卵胞が押し出されてきて破裂し、内部の卵子が排出されます。この、内部の卵子が排出される現象が「排卵」です。

排卵痛の原因

卵子排卵痛の明確な原因は不明なことが多いですが、考えられている原因としては

  • 排卵時、卵胞が破裂する際に痛みが生じている
  • 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などで卵巣自体が腫れていたり、それにより排卵しづらくなっている
  • 卵巣の腫れや子宮内膜症、子宮腺筋症などによる卵巣と他臓器との癒着により、排卵しづらくなっている
  • 排卵した際に卵巣に傷がついている

などがあります。治療法も鎮痛剤で痛みを抑えるくらいになっている事が多いようです。

排卵痛を漢方で考えると?

排卵期は、卵子が卵胞を破裂して出てくるだけでなく、体温を上昇させ低温期から高温期に移行させたり、多数のホルモン分泌が一斉に変動していたり、実は体の中ではかなり大きな変化をしている時期です。

そのため、この時期に、体に何かしらの不調があると、排卵やその他の変化がスムーズに起こりにくくなり、痛みなどの症状が現れると考えています。

① 気滞血瘀による排卵痛

中医学には「不通則痛(通じざれば則ち痛む)」と言う言葉があり、体を巡る気(エネルギー)や血の巡りが悪く滞ってしまうと、痛みが起きやすいと考えています。

ストレスが強かったり緊張状態が続いていたりすると「気滞(気が滞る)」状態になりやく、またこの状態は「血瘀(血行を滞らせる)」にもつながります。

排卵時、卵胞を破裂させる勢いとなるのは、気血の巡りの良さと考えます。そのため、気滞血瘀があると、卵胞が破裂しづらく痛みにつながる、もしくは破裂後に出血が起こるのではと考えます。

普段からストレスがある、イライラしやすい、お腹や胸が張りやすい、ガスがたまりやすい、経血に塊があると言った症状がある方は、気滞血瘀の状態かもしれません。

また、子宮内膜症や子宮腺筋症、PCOSなども、中医学では瘀血と考えていますので、こう言った場合は、冠元顆粒や血府逐瘀丸などの理気活血薬を使うことが多いです。

② 気血不足による排卵痛

排卵期は、体内で大きな変化を起こしている時期。その大きな変化を起こすには、十分な気血(体にとってのエネルギーとなるもの)が必要です。また、そもそもこの流れる材料である気血が不足していれば、流れが滞り、気滞血瘀につながります。

普段から疲れやすい、貧血気味、食欲がわかないなどの方は、気血不足が根本にあるのかもしれません。その場合は、婦宝当帰膠などの補気補血の漢方薬を使います。

③ 腎虚による排卵痛

中医学において、生理・生殖に関わり、子宮や卵巣を司るのは「腎」の臓と考えられています。卵胞を成熟させ、排卵する流れを担当しているのもこの「腎」ですが、「腎」がパワー不足だと、その腎でつくられる卵胞も成熟が充分ではなかったり、またその後の卵胞が卵巣表面に押し出されて破裂すると言う流れがスムーズに行われなかったりします。

普段から、腰痛がある、下半身が冷えやすい・むくみやすい、生理周期が遅れがちなどの症状がある方、また、排卵の頃に腰痛がある、などの場合は、腎虚の体質かもしれません。これらの場合、六味地黄丸や、参馬補腎丸・参茸補血丸と言った補腎薬と呼ばれる漢方薬を使うことがあります。

排卵痛と漢方のまとめ

排卵が起きている時期は、基礎体温をつけられている方や超音波エコーなどで卵巣の状態を確認している方以外では明確には自覚しづらいため、気付かずに見過ごされている場合も多いです。

しかし、生理周期が28日周期の方で、低温期と高温期がちょうど14日ずつの方であれば月経14日目前後に、基礎体温を取られている方であれば低温期から高温期に移行する辺りで、何かしらの下腹部や腰に痛みや違和感がある場合は排卵痛の可能性があります。

排卵痛自体はひどいものではなくとも、何かしらの痛みや出血があると言うのは決して正常な状態ではありません。

排卵は体の中では大きな変化が起きている時。その大きな変化に体が対応しきれていないからこそ、痛みなどの違和感が生じていますし、場合によってはその痛みが、生理のお悩みや不妊のお悩みと関係していることもあります。

排卵痛にお悩みの方や、これは排卵痛なのかな?と気になっている方はぜひご相談ください。

今井 太郎(漢方の後楽堂薬局 薬剤師/薬学博士[Doctor of Pharmacy]/国際中医師)

執筆者:今井 太郎

漢方の後楽堂薬局 薬剤師/薬学博士[Doctor of Pharmacy]/国際中医師

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